はち巻 岡田-創業100年。銀座の名店ここにあり/the 239th day
銀座の美味しい飲食店を巡るグルメブログ“銀座6丁目美食日記”239日目です。本日は2016年で創業100年を迎えた松屋裏の老舗和食店”はち巻 岡田”さんにお伺いしました。
先日ご紹介した”野の花”さんのお隣です。
関東大震災後、壊滅した銀座の復興を支えた初代の岡田庄次氏は銀座が好きな人にとっては伝説的ヒーローなのです。なかなか機会がありませんでしたが、やっとお伺いできました。
入り口はやや奥まったところにあり、歴史を感じる暖簾の中央には里見弴氏の「舌上美」、その左右には四季の句。初代のトレードマークだったはち巻ロゴの提灯に親しみを感じましたが、それでも緊張しつつ暖簾をくぐります。
中に入ると菊正宗の樽、店内は小綺麗な小料理屋風。
カウンターも4席あり、2階は個室になっているのでしょうか。 カウンターに座り、左上を見ると初代の白黒写真、右横には何年前からのものか大量の日枝神社の干支絵馬が柱に結ばれており、右後ろには黒電話。お世辞にも高級感があるとは言えませんが、歴史を感じる内装です。
本日はこちらの名物でもある”鮟鱇なべコース” ¥14,000(w/o tax)をお願いしました。 3月で終了かと思っていたので、思いがけず幸運でした。
日本酒は”菊正宗 樽酒” ¥950のみ。まずは燗で。
樽酒は初めて飲みましたが、美味しいお酒です。 燗にするとなおさら芳しい吉野杉の香りにより、お酒の奥行きがぐっと増すようです。 創業当時からこれ1本というのだからその心意気は素晴らしい。
刺身 “ヒラメ、タイラ貝”
一番の不安は−老舗にありがちですが−料理がイマイチだったらどうしよう!ということでしたが、お刺身で払拭されました。貝はやや薄く切られており、食感は弱いですが、瑞々しさと舌触りが美味。ヒラメもしっかり旨味が感じられてよかったですね。少しですがエンガワも付いていました。
“岡田茶わん”
上には白ネギがたっぷり、中に鶏肉が入ったお吸い物。 こちらの名物というだけあって、とても美味しく、しみじみと味わう。コクのある出汁に、ピリッと効いた塩気がたまりません。
“サワラの照り焼き、タラの芽天ぷら、からすみ”
酒飲みのための上等な肴。からすみ美味し過ぎ。
この辺りで”菊正宗 樽酒” を冷でいただきます。
香りは抑えられますが、すっきりとした辛さが前面に出ますね。 表情の変化もとても楽しいお酒です。
“粟麩田楽”
外はカリッと香ばしく、中はフワフワ。 ちょっと濃いめの味噌もよいですね。酒が進むわ。
“鮟鱇なべ”
初めて食べる鮟鱇なべ。鮟鱇色んな部位、肝や皮などがごたっと入っております。 他に具はしいたけ、春菊、ネギ、豆腐。身が白くなったら完成です。
スープは醤油ベースのしっかりとしたもの。とことん樽酒を飲ませる。 お味はもちろん美味!特に肝は絶品です!あっという間に完食してしまいましたが、次ぎは一番楽しみかもしれないコチラ。
さっぱりとしたフグやスッポン雑炊もよいですが、たまには重厚感のあるのもよい。 お味はやや濃いめですが、後味はとてもすっきりでした。
量は少なく感じましたが、気付ばお腹いっぱいに。鮟鱇なべは冬になったらまた食べたい逸品でした。感じたのは、今も昔も小料理屋だということ。 料理の細かい説明などは必要なく、上質なサービスもありませんが、とにかく旨い酒(菊正宗)が飲める。
お酒が飲めない方には、この店を100%味わえないかもしれませんね。 現在店主はお若い3代目、いつまでもそこに合って欲しいと思うお店です。 次回は一品料理目当てに、ふらっとお伺いしてみたいと思います。ごちそうさまでした!
“はち巻 岡田”さんについて詳しくはウェブサイトをご覧下さいませ。お立ち寄りの際は是非トリプル銀座にもお立ち寄りくださいませ。